2011/11/11

芸祭こぼれ話その12『哲丸の異常な愛情』



芸祭中
僕らの展示「まげまげてれーび」はDVD売り切れという快挙を成し遂げた。
人形も自分たちの手で作り、不思議とボロボロの人形にも愛着がわくものである。
そんな中、自らの作った人形に以上な愛情を注いでしまう男がいた。

グラフ四年「福田哲丸」である。

彼の作った「モモちゃん」という非常にアングラでかつサブカル臭のする人形に彼の心は持っていかれてしまったのだ。
その愛情は尋常ではなく、「モモちゃんをいじめるな」だの「雑に扱うな」だの言い始めたのである。僕らがモモちゃんで遊んでいると「やめてよ!やめてよ!」と叫び出す始末。
その必死の目を見て僕らもこれはまずい、と感じ

「その 人形 は 気持ち が 悪いんだよ」

と丁寧に教えようとしたが、無駄に終わってしまった。
もう誰も彼を止める事は出来ない。
僕たちは彼のその愛情が、いつか道ばたに咲く小さな花に向けられるようになるまで治療をつづけていく事を決めたのだった。

芸祭こぼれ話その11『殺人鎌』



「イケメンですね」
のテントではあの女が動いた。

卒業生「鎌倉美佳」である。

この日は「そそう」をした学生に鎌倉さんがビンタをするという流れが出来上がっており、北斗、坪田の両名がその鎌の餌食となった。

鎌倉さんを知る人ならお分かりだろうが、鎌倉さんのビンタは尋常ではない。
言葉に表すのは難しいが、叩かれたあと「首がある」事が不思議なくらい徹底的にはたく。

はたから見ているのは何とも爽快で気持ちがいい。
ビンタ一回につき、ふんどし姿のおっさん二人が日本酒を酌み交わし、餅をつきながら
「良いビンタでしたねえ」
とでも言ってそうな風情がある。

ただビンタされた方はたまったもんじゃない。
僕は絶対にやだ!
この流れが回ってこなくてよかった!
と安堵しながら、二人がやられているのを見て、
「首を刈れ!!」
と鎌倉さんにエールを送っている自分が恐かった。

しかしいいもんみた。

芸祭こぼれ話その10『あいつらがきた』



今年は俺たちの芸祭だ!
と思っていたらやはり奴らが来た。
卒業生である。

「持っていかれる」

僕は思った。
ふと、僕らの芸祭の崩壊を垣間みた。

しかし、なんとフタをあければなんのこたあ無かった。
この人達と学校で飲むのはいつぶりだろう。

チャンジャ鼻につめられたっけ。
意味不明な物食わされたっけ。
無駄に一気したっけ。

僕が四年になって、一緒の卓を囲む。そんな卒業生を見て、
僕らが彼らの気持ちがわかるくらいオトナになったのか。
逆に彼らがもっとオトナになったのか、、、、

そんな事はどうでも良い。お酒があれば良い。
ただ単純にそう思った夜。


(この後やはり卒業生は遊び倒し、朝飯食って颯爽と帰る。)

芸祭こぼれ話その9『マサシのライブ』



芸祭三日目
ウエスタンテントではゲストバンド、toldのライブが始まった。
それと同時にもう一つのライブを始めた男がいたのだ。

グラフ四年「柳田マサシ」である。

かれはtoldの曲を噛み締めるように歌い出したのだ。

「お前のライブじゃねえ。」

と喉まで出かかったがなんとか止める事が出来、僕はtoldを見ていた。
マサシはドラムの赤羽君と同じリズムを取りながら歌っていたのである。
これがtoldのライブと同時に行われた、誰も見てないマサシのライブである。

芸祭こぼれ話その8『哲丸のお母さん』


哲丸のお母さんが差し入れをくれた三日目。
お母さんを見つけた僕は挨拶をしにいった。

ぼく「パンおいしかったです!」
お母さん「ちゃんとしたもの食べてないんでしょ?」
ぼく「はい!食べてません!」
ふたり「ハハハハハハ」

なんとほっこりする会話だろう。
そんな時、哲丸のお母さんがテントでライブ中のシーサイドボーイズを見て言った。

「一ノ瀬君は何でラップしているの?」

「・・・はい?」

そんなはずはない。と振り向くと、キクチことKKCがラップしていた。

「ああ、あれはキクチですよ。」
「あらやだ!また間違えた!」

「ハハハハハハハ」

哲丸のお母さんは二人を良く間違えるらしい。

芸祭こぼれ話その7『キュートな二人』


毎年芸祭では「良いもん見たな。」という感情にかられるが、今年見た「良いもん」は間違いなくコレだろう。

グラフ四年「はたたかふみ と いとうめいこ」である。

二人の「キュキュ!」という踊りに僕はあっという間に魅了された。

子猫とモルモットと小鳥と子ウサギを全部抱きしめている様な感覚。
キュートな声を出しながら腰を振るその仕草は、赤子のハイハイを見ているようだ。
そこに秦がいるという事実に、今まで抱きしめていた全部を鍋につっこんでグツグツ煮ているかの様な一種のオチがまた心地いい。

彼らに会ったらまたやってもらおう。よし。

芸祭こぼれ話その6『モトノリ、泣く』


深夜、もう皆出来上がっている最中、マサシが突然僕の前に現れ言った。
「誰かが泣いているぞ!」

グラフ四年「鈴木モトノリ」である。

先ほど文平が登った木の根元で膝をついてシクシク泣いているのである。
「どうした!?」
と言うと彼は吹き出し書いた通りの事を言って、またシクシク泣いた。

彼なりの四年間を噛み締めているのだろう。
楽しい事も、辛い事も、悲しい事も全部。
言葉や文章にならないモノが涙になって流れていた。

嗚咽まじりに
「・・おえ・・・・・最高だ。」

と彼は言った。


(この後、彼は「何言ってんだ、頭冷やせ。」と水をぶっかけられ、正気に戻り「俺の芸祭始まったぜえええええ!!」と冬の夜空に叫んだ。)

芸祭こぼれ話その5『カズマ乱入』



そのライブ中、急に上裸の男が僕の横にやってきた。

プロダクト四年、快速東京のベーシスト「フジワラカズマ」である。

今回の投稿はすでに一行目で終わりである。
彼の意向はさっぱりわからないが、僕は彼の行為に芸祭の魅力を感じずにはいられないのである。

芸祭こぼれ話その4『坪田、失踪』


芸祭三日目
僕らのバンド、It's show 懸命のライブの時間が迫っているのに、あいつが来ない。

グラフ四年「坪田駿作」である。

僕らは電話をかけまくるがいっこうに出ない。
出番まであと10分!
出ない!
あと5分!
出ない!
あと1分!

坪田「・・・・・あい、、、あい、、、」
ぼく「坪田!今どこだ!?」
坪田「・・・・・・・・・・・・・家。」

出れない!
結局午後から時間を空けてもらい、ライブを行う事が出来た。
「ライブ中、目の前を神輿が通る」
という文章にすると何とも不可解な出来事が起こったが、とにかく良かった。

芸祭こぼれ話その3『ソウルMC』



一日目
中央ステージはカタコトのライブで大盛り上がり。
そのステージでのライブMCで嬉しい一コマがあったので紹介しておこう。

カタコトの2MC
「ドラゴンとヤノマン」である。

今年のグラフキャンプに参加できなかった僕を「夏じゃない(ファミレスは五人サマー)」のMC中にフィーチャーしてくれたのだ。
感じる愛、そう、まだ夏じゃない。今11月ってことはあと半年もすればあいつ来るんだろうな!yo!

芸祭こぼれ話その2『木に登る男』



深夜、真っ昼間から飲んできた酒が人格を変える時間。
今回もまた、アルコールに魂を売った男が誰に言われるでもなく木に登った。

グラフ四年「城井文平」である。

アドレナリンが彼の臓器(なか)を駆け巡り、結局、彼は登った。
彼の言い分は吹き出しの通りである。
このブログを御覧のしらふの貴婦人の皆様、最低でしょ?
しかし、これがまた盛り上がるんですのよ奥様。

みんなバカなんです。

何万年も前に木を降りる事で現在の繁栄を勝ち取った人類。
僕らはどこまで進化するの?
彼のこの行為は、遺伝子が告げる時を超えた帰巣本能なのかもしれない。

芸祭こぼれ話その1『MVP』


芸祭にMVPなんて概念そもそもないのだが、どうしてもこの賞を与えたい人物が今年はいた。

グラフ四年「ジャンボ」である。

飲みの席ではいつも控えめな彼だが、今年の彼はひと味違った。
いわゆる「無双」状態だったのだ。
常識や秩序がなくなった彼のその面白さたるや、あの花田竜一も一歩引く(彼は覚えていないだろうが)程の凄みがあったのである。かくいう私もジャンボの覚醒によって今年は閉口である。

さよなら芸祭



終わったよ。
芸祭が終わった。

あの学校がもうホントにただの箱になってしまったよ。

一日目も二日目も三日目も最高でした。
体調不良で帰った一日目でさえ最高なんだから二日目三日目の最高さがよくわかる事でしょう。
そして例年のごとく四日目も五日目も最高でした。
元を正せば準備期間の一週間も最高でした。
準備期間を入れれば本番が八日目になるわけですから僕は十二日間最高な時間を過ごした事になります。
加えてまげまげてれーび2の撮影やIt's show 懸命の練習期間を入れれば二十日間くらい最高だった事になります。久々に先輩とあった二日目。この先輩達とここまで楽しめたのは二年前くらいに友達になったからなワケですからここ二年間くらい最高だったんだと思います。最後まで一緒にいたグラフ四年の友達とは四年前に出会いました。それを入れれば大学四年間最高だった事になりますね。「美麺ですね」で食べたうどん。最高でした。それもこれも僕が二十年くらい前にうどんを好きになったからです。ということはここ二十年くらい最高だったんでしょう。
最高じゃなかったのは生まれた時くらいです。
覚えてないですから。

でもここで考えた。
芸祭三日間も楽しすぎて覚えてません。

という事は、、、

生まれた時から最高です。



(多分これからも最高です。)


2011/11/10 ブログたけし