このブログでも何度か紹介したバンド、toldのニューシングル「FLAG」がブログたけし事務所に届いた。黄色を基調としたジャケットに事務所で飼っている黄色いインコのアルフレッドも仲間かと思ったのか飛びついて「オハヨウ」と鳴いた。
それくらい黄色だった。(昔の邦画のタイトルみたい。)
ジャケットデザインは快速東京のカミソリギタリストにしてカミソリデザイナー、一ノ瀬雄太、イラストはtold(Gt./Vo.)の鈴木歩積の実の兄、スズキユウマ(OFFICE VOIDS)である。
清々しい黄色に取りようによればノンセンチメンタルなイラストがtoldというバンドを実に良く象徴している。と事務所のバイトの女の子が言ったので、
「あー俺もそう思ってタワー」
と、ブログたけしもすかさず言った。
ただ確かにそうだ。
このイラストの線には語りかけたくなる何かがある。
「君は無感情に描かれた線かい?」
「それとも何かを僕に言いたいのかい?」
「何かあったら言いにおいで」
「いつでも相談に乗るからさ」
「あーでも僕よりもっと的確な答えを出してくれる方がいるなあ」
「日曜あいてる?」
「とりあえず集会おいでよ」
「イデア様に相談しなよ」
「いや、そんな変な会じゃないよ」
「とりあえず集会おいでよ」
「日曜日に集会に行くぐらい」といったら失礼だが、僕なんて到底及ばない差をこの画に感じた。一言じゃないんだ、この画は。と。
話を変えよう。
ジャケットのデザインについて。
まずこの文章を読んでもらいたい。
「勝ってうれしい花いちもんめ、負けて悔しい花いちもんめ、隣のおばさんちょっと来ておくれ、鬼が怖くて行かれない、お布団かぶってちょっと来ておくれ、お布団ぼろぼろ(若しくはびりびり)行かれない、お釜かぶってちょっと来ておくれ、お釜底抜け行かれない、(鉄砲かついでちょっと来ておくれ、鉄砲あるけど弾がない、)あの子が欲しい、あの子じゃわからん、この子が欲しい、この子じゃわからん、相談しよう、そうしよう」
ご存知の通り、これは遊び歌「はないちもんめ」の歌詞である。
ぼくはすべてにおけるデザインのベースはこの歌詞の中にあると思っていて、一ノ瀬雄太のデザインを語る上でかなり言い得たソースになる。
モノを作る上で人が一番大切にしなければならない芯。
それは単純な事で、
かったらうれしいし、負けたら悔しい。
そう言う事なのだ。その後に続く歌詞もまさに単純な人のエゴ。
100万円欲しい!
アイドルと付き合いたい!
コレが好き!
あれが嫌い!
やだ!
いいよ!
めんどくさい!
かっこいい!
かっこわるい!
むかつく!etc…
一ノ瀬雄太には、僕らが言葉を使い慣れて忘れてしまった単純な感情がまだあるように思える。
「社会という荒波」とはよく言う言葉だが、僕もそう思う節はある。
ただ「荒波」ほどスケールは大きくなくて、まるで「濁った水」のように感情が渦巻いている。
「社会は濁った水」なのだ。
そんな濁った水に投じられた、一石のロックがtoldの「FLAG」であり、このイラストであり、このジャケットなのだ。
この石に救われてみよう。
夜明けは近い。
アルフレッドはもう一回言った、
「オハヨウ」!