2012/02/22

人をナイフで刺す。

「アワアワ」

「ドキドキ」

「ワナワナ」

「ウロウロ」

挙げれば切りがないのですが、「焦っているときの擬音」は多々あるものです。
過去をたどればあの手塚先生もときわ荘の小さな机で書き出した擬音イズムは今もなお日本を代表するポップカルチャーであるマンガの中にいきづいています。
近年では荒木飛呂彦先生なんかが「ものが飛び出すときの擬音」に

「メタァァァァァァ」


なんてぶっ飛んだ擬音を登場させたりしています。
まあ、「ジョジョ」のお話自体ぶっ飛んでますし、出す状況も特殊ですしね。

僕はこの擬音というのがですね、漫画に限らず大変重要だと思っているんです。
先に述べた定型文的擬音ではなく、自分のパーソナルな部分をいかに出せるか、ここで大きく変わってきます。何が大きくかわすか・・・それは、説得力です。

なぜ僕がそんなに力説するか、
ある漫画を読んでるときに、僕は驚愕した経験があります。

簡単に言うと「ナイフで刺す」時の擬音なんですが、皆さんは「ナイフで刺す」時、どういう音で刺しますか?

もう一回言いますよ、

「ナイフで刺す」時、どういう音で刺しますか?


大抵の人が
「ブスッ!」とか「ズブッ!」とかだと思います。
よく、観る、普通の、擬音。ですね。

これだったら小学生がよく言う

「ジョバスッ!!」

の方が説得力ありますよね。
今思いましたけど、「ジョバス」っていいですよね。
ただ「刺される」となるとやっぱり「ブス!」とかになってしまうんでしょうね。
「ジョバス」はニュアンスとして「刺す」というより「斬りつける」と言った印象があります。

「ブス!!ズブ!!ジョバァスッ!」

はい、死にました。

「うわー」とかいいながら死にましたよ。

なーんかね、リアルじゃないんですよね。

人が、ナイフで、人を、刺す

わけですからもっと泥臭く、園子温の映画みたいな生温い感じが欲しいんですよ。


ここで話を戻しましょう。
この行為に関して僕がある漫画から得た擬音が、ものすごかったわけです。
今回ご紹介します。

それは・・・













「サク。」






です。
当時僕はこのページから動けなくなるほど衝撃を受けました。
「サク。」
ってすげえなって。
「サク。」ですよ?「サク。」

はい、ナイフ持ってくださーい。
あなたの前に殺したいほど嫌いなやつがいまーす。
いつものようにあなたを馬鹿にします。

後ろから近づいてください。

3メートル・・・




2メートル・・・







1メートル・・・










「サク。」




「・・・やった・・・」
あなたは無表情でしょうね。
刺したやつも何が起こったかわからないようです。
空気が止まるのがわかります。
周りの友達は、刺された彼から垂れる血が、灰色の廊下を深紅で染めていくのをゆっくり観ています。体から滴り落ちる生暖かい「それ」に、彼は気づきました。しかし大きな声を上げるわけではなく、傷口とあなたを一瞥し、ゆっくりと膝から倒れおちます。
あなたの頭の中は今朝最初に殺意を感じたときに聴いていた踏切の音がなり続けます。スローモーションが解け始め、踏切の音がフェードアウトしていき、ちょうど横を歩いていたあなたの初恋の相手が図書室に返すはずだった本を落とすと同時に出した悲鳴がゆっくりと交差していく時、あなたは初めて少し後悔を感じ始めます。
世界と「貴方の中での一つの功績」が「後悔」に変わっていく事を誰よりも許さないのは貴方です。貴方はナイフを持ち替えて首元にあてがえ、まだ「世界」を止めるわけにはいかないと、最後の手段に出るのでした。





「サク。」



おわかりいただけたでしょうか?
擬音の説得力でここまで見えてくるでしょう?
僕はこういう擬音に出会ったとき、とてもうれしいんです。

他にも

「銃で狙撃するとき」の

「タスッ!」


「芝生でコケたとき」の

「ソリュ!」

なんかもあるんですが今日はここまで。
さようなら。




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