2010/05/16

本質村の奇跡




昔あるところに本質をたくさん持っている村がありました。
その村は貧しくも代々その本質を守り続けてきました。

そんなある日、デザイナーの大群が現れてその村の本質を全て奪ってしまったのです。
強大な力を持つデザイナーたちに村の戦士たちはなす術無く敗れ去り、本質以外の村の財産も全て奪われてしまいました。
村に襲いかかる絶大な虚無感、、誰もが村の死を覚悟したその時、一人の男が村を訪ねてきました。その男は

「デザイナー達がこの村の本質を教えてくれました。その本質を聞いた僕はこの村に来てみたいと思ったのです。」

そういうと男は村の子供が作った木彫りの人形をびっくりするくらいの値段で買っていきました。
村人達は呆然としていましたが、いつしか村はそんな人達であふれかえりました。その人たちは子供が作った人形を何個も買っていきました。村はそうして貯めたのお金を使って、子供たちの学校を作りました。まだまだお金が余っていたので山や森、海で獲った食料を保存し売買する食品センターや病院、警察署、そしてついに役所まで作りました。それぞれの場所で村人達は働き、村の財政が円滑に機能してきても村を訪れる人は減らず、むしろどんどん増えていきます。そんな人達のために村人は専用の牛車を設置し、何度も村に来るとマイレージが貯まり、そのマイレージを使うと次回村に来る時安くなる制度を導入しました。

いつしかこの村は誰もが知るとても有名な村になりました。

村長はいいます。
「あのとき、デザイナー達が現れたとき、我々は絶望を感じた。しかし今は彼らに大変感謝している。」

今年も村にはたくさんの人達がやって来るのでした。
彼らが買った木彫りの人形はもう別の村で作っているとは知らずに・・・・・

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